薪ストーブの炎を眺めながら過ごす冬。
那須では、薪ストーブのある暮らしを楽しんでいるご家庭や別荘も多くあります。
しかし、薪ストーブは「設置したら終わり」の暖房器具ではありません。
私たち炎凸家が薪ストーブを使用されている方に必ずお伝えしているのが、
「煙突掃除を定期的に行ってください」
ということです。
その大きな理由のひとつが、煙道火災(えんどうかさい)です。
煙道火災とは?
薪ストーブで薪を燃やすと、燃焼によって発生した煙は煙突を通って屋外へ排出されます。
ところが、燃焼状態が悪かったり、十分に乾燥していない薪を使用したりすると、煙に含まれる成分が煙突内部で冷やされ、煤やタール状の物質として付着します。
その代表的なものがクレオソートです。
このクレオソートや煤が煙突内部に大量に蓄積した状態で高温の排気や炎などにさらされ、煙突内部で着火してしまうことがあります。
これが「煙道火災」です。
通常、煙突は煙を外へ排出するためのものですが、煙道火災が発生すると、今度は煙突の中そのものが燃えている状態になります。
煙突内部に蓄積した可燃物が一気に燃焼するため非常に危険です。
全国では毎年100件以上の「煙突・煙道」が原因となる火災が発生
総務省消防庁が公表している火災統計を見ると、「煙突・煙道」を出火原因とする火災は全国で毎年100件を超えています。
| 年 | 煙突・煙道を出火原因とする火災 |
|---|---|
| 2021年(令和3年) | 163件 |
| 2022年(令和4年) | 178件 |
| 2023年(令和5年) | 141件 |
| 2024年(令和6年) | 149件 |
| 2025年(令和7年) | 160件(概数) |
2025年は160件で、前年の149件から11件増、7.4%増となっています。
5年間を合計すると、
791件
になります。
つまり単純平均では、全国で年間約158件、「煙突・煙道」を原因とする火災が発生している計算です。
※出典:総務省消防庁「火災の状況」。消防庁の統計上の分類は「煙突・煙道」であり、この数字がすべて薪ストーブによる煙道火災という意味ではありません。薪ストーブ以外に起因するものも含まれます。また2025年については2026年5月28日公表時点の概数です。
なぜ煙突掃除をしないと危険なのか

薪ストーブを使用するたびに、煙突内部には少しずつ煤などが付着していきます。
正常な燃焼をしていて、よく乾燥した薪を使用していれば付着量を抑えることはできます。
しかし、
「乾燥が不十分な薪を使う」
「空気を絞りすぎて低温燃焼させる」
「煙突が冷えやすい」
「煙突掃除を何年もしていない」
といった条件が重なると、煙突内部に煤やクレオソートが蓄積しやすくなります。
特に注意したいのが、薪の乾燥状態です。
炎凸家では、薪ストーブに使用する薪は含水率20%以下をひとつの目安としておすすめしています。
水分を多く含んだ薪は、燃焼エネルギーの一部が薪に含まれる水分の蒸発に使われるため、燃焼温度が上がりにくくなります。
その結果、不完全燃焼になりやすく、煤やタールの発生につながります。
「燃えているから大丈夫」が一番怖い
煙突が完全に詰まっていれば異常に気付きやすいかもしれません。
問題は、
「普通に薪ストーブが使えているから大丈夫だろう」
と思ってしまうことです。
煙突の内部は普段見ることができません。
外から見ればきれいな煙突でも、内部には煤やクレオソートが付着している可能性があります。
だからこそ煙突掃除は、単純に「煙突をきれいにする作業」ではありません。
煙道火災を防ぐための重要な点検作業でもあるのです。
煙突掃除では「煤を取るだけ」ではありません
炎凸家では、煙突内部の清掃だけでなく、薪ストーブを安全に使い続けるための状態確認も重要だと考えています。
煙突内部の煤・クレオソートの付着状態、煙突トップ、腐食や破損、接続部分、ストーブ本体、ガスケット、空気調整機構などを確認することで、次のシーズンを安心して迎えることができます。
また、掃除によって出てきた煤の状態は、薪の乾燥状態や焚き方を見直すヒントになることもあります。
サラサラとした煤なのか。
固まった煤が大量に出てくるのか。
タール状・光沢のあるクレオソートが付着しているのか。
煙突は、ある意味で**「その薪ストーブがこの1年間どのように焚かれてきたか」を記録している場所**でもあります。
煙突掃除はどのくらいの頻度ですればいい?
炎凸家では、基本的に最低でも年1回の点検・煙突掃除をおすすめしています。
特に毎日のように薪ストーブを使用する住宅、冬の使用量が多い別荘・宿泊施設などは、使用状況に応じた点検が大切です。
おすすめのタイミングは、薪ストーブのシーズンが終わったあと。
煤や灰などを長期間残したままにせず、煙突とストーブを清掃・点検しておけば、次の冬を気持ちよく迎えることができます。
逆に「もう何年掃除したか覚えていない」という場合は、次に本格的に使用する前に一度点検することをおすすめします。
中古別荘に付いていた薪ストーブは特に注意
那須では、中古別荘や中古住宅を購入したところ、もともと薪ストーブが設置されていたというケースも珍しくありません。
この場合、
「前のオーナーがいつ煙突掃除をしたのか分からない」
「どんな薪を使っていたのか分からない」
「煙突が正しく施工されているのか分からない」
というケースがあります。
見た目だけで判断して、そのまま火を入れるのはおすすめできません。
中古物件に既設の薪ストーブがある場合は、使用開始前に煙突・薪ストーブ本体を一度点検すると安心です。
薪ストーブは「火を楽しむ道具」だからこそメンテナンスを
薪ストーブは、正しく使用すれば非常に魅力的な暖房器具です。
パチパチと薪が燃える音。
炎の揺らぎ。
薪を準備し、火を育て、家全体がゆっくり暖まっていく感覚。
これはエアコンやファンヒーターでは味わえない、薪ストーブならではの魅力です。
だからこそ、長く安全に使っていただきたい。
煙突掃除は「汚れたから掃除する」のではなく、火災を防ぎ、薪ストーブを安全に楽しみ続けるために行うものです。
消防庁の統計では、2025年にも全国で160件(概数)の「煙突・煙道」を出火原因とする火災が報告されています。
「うちは大丈夫」ではなく、
「今年も安全に使うために点検する」
そんな感覚で、年に一度、煙突と薪ストーブの状態を確認してみてください。
那須地域での薪ストーブ・煙突掃除、点検、メンテナンスについては、炎凸家までお気軽にご相談ください。
